◆理解できる◆労働基準法まとめ

労基法は労働者の権利です。

労働基準法第十八条

(強制貯金)

第十八条 使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。
② 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出なければならない。
③ 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合においては、貯蓄金の管理に関する規程を定め、これを労働者に周知させるため作業場に備え付ける等の措置をとらなければならない。
④ 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利子が、金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定める利率による利子を下るときは、その厚生労働省令で定める利率による利子をつけたものとみなす。
⑤ 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、労働者がその返還を請求したときは、遅滞なく、これを返還しなければならない。
⑥ 使用者が前項の規定に違反した場合において、当該貯蓄金の管理を継続することが労働者の利益を著しく害すると認められるときは、行政官庁は、使用者に対して、その必要な限度の範囲内で、当該貯蓄金の管理を中止すべきことを命ずることができる。
⑦ 前項の規定により貯蓄金の管理を中止すべきことを命ぜられた使用者は、遅滞なく、その管理に係る貯蓄金を労働者に返還しなければならない。
(昭二七法二八七・平一一法一六〇・一部改正)

  1. 労働基準法第十八条は、「強制貯金」という趣旨を持っています。
  2. この条文により、使用者は労働契約に付随して貯蓄の契約を強制したり、労働者の貯蓄金を管理する契約をすることはできません。
  3. 労働基準法は、労働者の権利保護と公正な労働条件の確保を目的として制定されています。労働者は自身の報酬を自由に管理する権利を有しており、強制的な貯蓄や貯蓄金の管理はその権利を侵害する行為とされています。
  4. この条文の趣旨は、労働者の経済的自由と自己決定権を尊重することです。労働者は自身の収入を自由に管理し、将来のために貯蓄する自由を持っています。使用者が貯蓄の契約や貯蓄金の管理を強制することは、労働者の経済的な自律性を脅かし、労働条件の不公平を引き起こす可能性があります。労働基準法第十八条は、このような強制的な行為を防止し、労働者の権利を守るために制定されています。
  5. 労働基準法第十八条によれば、使用者が労働者の貯蓄金を管理する場合は、労働者の合意を得る必要があります。具体的には、労働組合が存在する場合は労働組合と協定を結び、労働組合が存在しない場合は労働者の過半数を代表する者と協定をし、行政官庁に届け出る必要があります。また、使用者は貯蓄金の管理に関する規程を定め、労働者に周知させる責任があります。
  6. さらに、使用者が労働者の貯蓄金を預かる場合は、利子を付けなければなりません。利子の付与は、金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定められた利率によるものとされます。また、労働者が貯蓄金の返還を請求した場合は、迅速に返還しなければなりません。
  7. 労働基準法第十八条の趣旨は、労働者の貯蓄金に関する権利と自己決定権を保護することです。労働者は自身の収入を自由に管理し、将来のために貯蓄する権利を有しています。使用者が強制的に貯蓄の契約を課したり、労働者の貯蓄金を管理することは、労働者の意思決定の自由を侵害し、不当な経済的負担を強いる行為とされています。
  8. 労働基準法第十八条には、具体的な規定も含まれています。例えば、使用者が労働者の貯蓄金を管理する場合は、労働組合が存在する場合は労働組合との協定が必要であり、労働組合が存在しない場合は労働者の過半数を代表する者との協定が求められます。さらに、貯蓄金の管理に関する規程を定め、労働者に対して周知する必要があります。
  9. また、貯蓄金の管理が行われる際には、利子の付与も求められます。労働者の預金の受け入れとして管理される場合は、金融機関の利率を考慮して厚生労働省令で定められた利率を下回らない利子が付けられるべきです。これにより、労働者の貯蓄金が適切に利益を生む形で管理されることが保証されます。
  10. もしも使用者が労働基準法第十八条に違反した場合、行政官庁は必要な限度内で貯蓄金の管理を中止するように命じることがあります。このような措置は、労働者の利益を害する可能性がある場合に行われます。
  11. 労働基準法第十八条は、労働者の経済的自由と自己決定権を尊重し、公正な労働条件の確保を目指す重要な規定です。労働者は自身の収入や貯蓄について自由な選択を行えるべきであり、使用者はその権利を侵害することなく、適切な労働条件を提供する責任を負っています。

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