◆理解できる◆労働基準法まとめ

労基法は労働者の権利です。

労働基準法第三十八条

(時間計算)

第三十八条 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

以下付随条文は記事最下部

  1. 労働基準法第三十八条は、労働時間に関する規定の適用範囲を定める法律です。
  2. この条文は、まず、異なる事業場で働く場合でも労働時間に関する規定を通算することを明示しています。また、坑内労働においては、坑口への出入り時間を含めて労働時間とみなすことが定められていますが、休憩時間に関する規定は適用されないことが明記されています。
  3. 第三十八条の二では、労働者が事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定しにくい場合は、所定労働時間労働したものとみなすことが規定されています。ただし、通常の所定労働時間を超えて労働が必要な場合は、厚生労働省の規定に基づき、通常必要とされる時間労働したものとみなします。また、労働者の過半数で組織する労働組合が存在する場合は、労働組合との書面による協定で時間を定めることもできます。
  4. 第三十八条の三では、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合、労働組合または労働者を代表する者との書面による協定に基づき、特定の業務に従事する労働者が労働時間を算定する際に利益を得ることができる場合があります。具体的には、業務の性質上労働者の裁量が必要な場合や、労働者の健康と福祉を確保するための措置や苦情処理に関する措置などが含まれます。
  5. さらに、第三十八条の四では、労働条件に関する事項を調査し、事業主に対して意見を述べる委員会の設置について規定されています。委員会は、使用者と労働者の代表者で構成され、一定の議決により労働者の範囲に属する労働者を特定の業務に就かせた場合に、労働時間を算定することができる権限を持っています。。
  6. (時間計算)

    第三十八条 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
    ② 坑内労働については、労働者が坑口に入つた時刻から坑口を出た時刻までの時間を、休憩時間を含め労働時間とみなす。但し、この場合においては、第三十四条第二項及び第三項の休憩に関する規定は適用しない。
    第三十八条の二 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。
    ② 前項ただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を同項ただし書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。
    ③ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。
    (昭六二法九九・追加、平五法七九・平一〇法一一二・平一一法一六〇・一部改正)
    第三十八条の三 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、労働者を第一号に掲げる業務に就かせたときは、当該労働者は、厚生労働省令で定めるところにより、第二号に掲げる時間労働したものとみなす。
    一 業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務(以下この条において「対象業務」という。)
    二 対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間
    三 対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと。
    四 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
    五 対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
    六 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
    ② 前条第三項の規定は、前項の協定について準用する。
    (平一〇法一一二・追加、平一一法一六〇・平一五法一〇四・一部改正)
    第三十八条の四 賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(使用者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものに限る。)が設置された事業場において、当該委員会がその委員の五分の四以上の多数による議決により次に掲げる事項に関する決議をし、かつ、使用者が、厚生労働省令で定めるところにより当該決議を行政官庁に届け出た場合において、第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者を当該事業場における第一号に掲げる業務に就かせたときは、当該労働者は、厚生労働省令で定めるところにより、第三号に掲げる時間労働したものとみなす。
    一 事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であつて、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務(以下この条において「対象業務」という。)
    二 対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者であつて、当該対象業務に就かせたときは当該決議で定める時間労働したものとみなされることとなるものの範囲
    三 対象業務に従事する前号に掲げる労働者の範囲に属する労働者の労働時間として算定される時間
    四 対象業務に従事する第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。
    五 対象業務に従事する第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。
    六 使用者は、この項の規定により第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者を対象業務に就かせたときは第三号に掲げる時間労働したものとみなすことについて当該労働者の同意を得なければならないこと及び当該同意をしなかつた当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。
    七 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
    ② 前項の委員会は、次の各号に適合するものでなければならない。
    一 当該委員会の委員の半数については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者に厚生労働省令で定めるところにより任期を定めて指名されていること。
    二 当該委員会の議事について、厚生労働省令で定めるところにより、議事録が作成され、かつ、保存されるとともに、当該事業場の労働者に対する周知が図られていること。
    三 前二号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める要件
    ③ 厚生労働大臣は、対象業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るために、労働政策審議会の意見を聴いて、第一項各号に掲げる事項その他同項の委員会が決議する事項について指針を定め、これを公表するものとする。
    ④ 第一項の規定による届出をした使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、定期的に、同項第四号に規定する措置の実施状況を行政官庁に報告しなければならない。
    ⑤ 第一項の委員会においてその委員の五分の四以上の多数による議決により第三十二条の二第一項、第三十二条の三第一項、第三十二条の四第一項及び第二項、第三十二条の五第一項、第三十四条第二項ただし書、第三十六条第一項、第二項及び第五項、第三十七条第三項、第三十八条の二第二項、前条第一項並びに次条第四項、第六項及び第九項ただし書に規定する事項について決議が行われた場合における第三十二条の二第一項、第三十二条の三第一項、第三十二条の四第一項から第三項まで、第三十二条の五第一項、第三十四条第二項ただし書、第三十六条、第三十七条第三項、第三十八条の二第二項、前条第一項並びに次条第四項、第六項及び第九項ただし書の規定の適用については、第三十二条の二第一項中「協定」とあるのは「協定若しくは第三十八条の四第一項に規定する委員会の決議(第百六条第一項を除き、以下「決議」という。)」と、第三十二条の三第一項、第三十二条の四第一項から第三項まで、第三十二条の五第一項、第三十四条第二項ただし書、第三十六条第二項及び第五項から第七項まで、第三十七条第三項、第三十八条の二第二項、前条第一項並びに次条第四項、第六項及び第九項ただし書中「協定」とあるのは「協定又は決議」と、第三十二条の四第二項中「同意を得て」とあるのは「同意を得て、又は決議に基づき」と、第三十六条第一項中「届け出た場合」とあるのは「届け出た場合又は決議を行政官庁に届け出た場合」と、「その協定」とあるのは「その協定又は決議」と、同条第八項中「又は労働者の過半数を代表する者」とあるのは「若しくは労働者の過半数を代表する者又は同項の決議をする委員」と、「当該協定」とあるのは「当該協定又は当該決議」と、同条第九項中「又は労働者の過半数を代表する者」とあるのは「若しくは労働者の過半数を代表する者又は同項の決議をする委員」とする。
    (平一〇法一一二・追加、平一一法一六〇・平一五法一〇四・平二〇法八九・平三〇法七一・一部改正)