◆理解できる◆労働基準法まとめ

労基法は労働者の権利です。

労働基準法第三十六条

(時間外及び休日の労働)

第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
② 前項の協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
二 対象期間(この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、一年間に限るものとする。第四号及び第六項第三号において同じ。)
三 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合
四 対象期間における一日、一箇月及び一年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
五 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
③ 前項第四号の労働時間を延長して労働させることができる時間は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限る。
④ 前項の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。
⑤ 第一項の協定においては、第二項各号に掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る。)並びに一年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め七百二十時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる。この場合において、第一項の協定に、併せて第二項第二号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が一箇月について四十五時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間)を超えることができる月数(一年について六箇月以内に限る。)を定めなければならない。
⑥ 使用者は、第一項の協定で定めるところによつて労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であつても、次の各号に掲げる時間について、当該各号に定める要件を満たすものとしなければならない。
一 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、一日について労働時間を延長して労働させた時間 二時間を超えないこと。
二 一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間 百時間未満であること。
三 対象期間の初日から一箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の一箇月、二箇月、三箇月、四箇月及び五箇月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の一箇月当たりの平均時間 八十時間を超えないこと。
⑦ 厚生労働大臣は、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするため、第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して指針を定めることができる。
⑧ 第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長及び休日の労働を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の指針に適合したものとなるようにしなければならない。
⑨ 行政官庁は、第七項の指針に関し、第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
⑩ 前項の助言及び指導を行うに当たつては、労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない。
⑪ 第三項から第五項まで及び第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については適用しない。
(昭六二法九九・平一〇法一一二・平一一法一六〇・平二〇法八九・平三〇法七一・一部改正)

  1. 労働基準法第三十六条は、時間外労働および休日の労働に関する規定です。この条文の趣旨は、労働者の健康や福祉を保護しながら、労働時間の延長や休日の労働を特定の条件下で認めることにあります。
  2. 使用者は、労働者の過半数で組織される労働組合が存在する場合はその労働組合、存在しない場合は労働者の過半数を代表する者と書面による協定を結びます。この協定は厚生労働省令に基づき行政官庁に届け出なければなりません。協定により、労働時間の延長や休日の労働が許可されます。
  3. 協定には以下の事項が定められます。まず、労働時間の延長や休日の労働が許可される範囲が明確に規定されます。また、対象期間や労働時間の延長や休日の労働が許可される条件、労働時間や休日の日数なども取り決められます。さらに、労働時間の延長や休日の労働が適正に行われるために必要な事項も、厚生労働省の命令によって定められます。
  4. 労働時間の延長は、通常予見される時間外労働の範囲内で行われ、一定の限度時間が設けられます。月間では45時間、年間では360時間です(特定の期間を定めて労働させる場合は、月間42時間、年間320時間となります)。
  5. また、予測困難な業務量の増加など特別な事情がある場合には、一時的に限定された時間外労働や休日の労働が認められる場合もあります。ただし、労働時間や休日の範囲は一定の制約を受けます。
  6. 厚生労働大臣は、労働時間の延長や休日の労働が適正に行われるための指針を定める権限を持ちます。指針では、労働者の健康や福祉、時間外労働の動向などを考慮し、労働時間の延長に伴う割増賃金の率など、必要な事項を指定することができます。
  7. 労働時間の延長や休日の労働に関する協定を結ぶ使用者や労働組合、労働者の過半数を代表する者は、指針に適合するように協定内容を定めなければなりません。行政官庁は、必要な助言や指導を行うことができます。助言や指導の際には、特に労働者の健康が確保されるよう配慮しなければなりません。
  8. なお、第三項から第五項までおよび第六項の規定は、新たな技術や商品、役務の研究開発に関わる業務には適用されません。
  9. 労働基準法第三十六条の趣旨は、労働者の保護と労働環境の調整を両立させることにあります。時間外労働や休日の労働を柔軟に認めつつも、適切な条件や制約を設けることで労働者の健康と労働条件の改善を図ることを目指しています。